実質的違法性阻却論により医療行為が実施出来た条件

介護職員が当面やむを得ない措置として、痰の吸引などの医療行為

を実施するにはいくつかの条件がありました。


◎在宅の場合

知識や技術的なこと、必要性や緊急性に関しては在宅での場合では

家族が痰の吸引を実施できる条件と基本は同じ。


主な条件

・在宅療養者からの依頼と文書による同意が必要(介護職員など

個人との同意)

・在宅療養者が医療関係者による医学的管理を的確に受けている

*かかりつけ医や看護職員の定期的な訪問

・担当医師や看護職員などから痰の吸引に関する必要な知識と指導

を受ける

・医師や看護職員との連携による痰の吸引の実施

*医師や看護職の管理のもとで、在宅療養者に対して実際に痰の

吸引を実践

・医師や看護職員、家族、療養者との連絡や相談、報告などを通じ

連携を密にする。


★介護職員等が医療行為を実施できるのは、在宅療養者が安定した

状態の時です。


◎特別養護老人ホームの場合

主な条件

・対象者(同意する能力がない場合は家族など)の施設への依頼

・依頼された施設の施設長が依頼者に説明

・書面による同意

・担当医から看護職員に対する書面による指示

・看護職員の指示の下での実施

・担当医を含めたスタッフの具体的な計画の整備

・看護師及び介護職員の研修

・担当医による介護職員実施範囲特定

・マニュアルの整備

・施設内委員会の設置

・指示書、実施記録の作成保管

・緊急時対応の手順、訓練の実施   など


★介護職員が医療行為を実施できるのは、対象者が安定した状態

の時です。


実質的違法性阻却論とは?

違法とは、法律に違反することです。

阻却とは、しりぞけることです。

文字どおりの意味としては、法律違反をしりぞけること。 

広辞苑には、「違法性阻却」の意味として、

「形式的には法令に反し、違法を推定される行為であっても、

特別な事由があるために違法ではないとすること」

と記載されています。(広辞苑より抜粋)

特別な事由として刑法では、正当防衛、緊急避難、正当行為 

の3つがあります。

実際に行った行為が、正当化されるだけの理由があるか否かを、

実質的に行い、正当化されるときは、違法ではないとされる

考え方のことを実質的違法性阻却論というようです。

続きはこちらです→ ヒヤリハット・アクシデント事例


■参考・引用文献

インターネット

実質的違法性阻却論について

www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/tannokyuuin/dl/1-1-3-1.pdf

介護現場等におけるたんの吸引等を巡る現状  2~5ページ

www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000bhqz-att/2r9852000000bjio.pdf

介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会(第9回) 資料

www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001jvww.html

実質的違法性阻却論について

www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/tannokyuuin/dl/1-1-3-1.pdf

実質的違法論について

www.mhlw.go.jp/shingi/2004/05/s0531-11b4.html