第3号研修 気管カニューレ内吸引(通常手順)評価項目の内容

まえおき

評価の実施手順(演習と実地研修)はSTEP1~7の 7段階あります。

STEP1は安全管理体制確保(実地研修のみ)

STEP2は観察判断(実地研修のみ)

STEP3は観察 になります。

 

STEP4~STEP7が基本研修(演習)及び実地研修評価基準・評価票を

用いて評価が実施されます。

 

 

気管カニューレ内吸引(通常手順)評価項目の具体的な内容例

評価項目は全部で31項目あります。

ここでは、STEP5(実施)の評価項目についてまとめてみました。

STEP5の評価項目は24項目あります。

評価項目ごとに評価票を用いて判定されます。

 

*第3号研修の場合は個別性が高い方を対象にしていますので、

個人に合った評価項目は、適宜、変更、修正が必要になります。

下記は参考資料をもとに、一つの例としてまとめてあります。

 

< STEP5(実施) 24項目>

①対象者本人からの依頼、又は 意思を確認

喀痰吸引は必要な時だけ実施

 

②吸引の環境と対象者の姿勢を整える

プライバシーの保護、安楽で安定した姿勢、吸引しやすい体位 など

 

③気管カニューレ周囲や固定の状態や喘鳴などの観察

出血や腫れ、発赤などの皮膚の状態やカニューレの固定が適切か観察

痰の貯留を示す呼吸音の有無  など

 

④手指を清潔にする

対象者の体に接触したあと、吸引前の手洗いを実施

流水と石鹸、又は速乾性擦式手指消毒剤で手指を清潔にする

 

⑤手袋の着用又はセッシを把持

清潔操作を守る

 

⑥吸引チューブを取り出す

吸引チューブを袋から取り出すとき、気管カニューレ内に挿入する

部分が不潔にならないようにする

 

⑦吸引チューブと連結管をつなぐ

不潔にならないように、吸引器の連結管(接続管)に

しっかり連結する

 

⑧吸引器の電源を入れる

吸引カテーテルの先端(挿入する側)から10cmmほどのところを

手袋又はセッシで把持

 

⑨浸漬法の場合、通水して吸引カテーテルを洗う

清潔操作を守る

洗浄液(滅菌水など)を吸引して、吸引カテーテル内腔と外側を洗う

 

⑩吸引圧を確認

吸引圧は20kPa(キロパスカル)以下に設定

 

⑪吸引チューブ先端の水をよく切る

吸引チューブの先端に水が垂れないようにする

気管カニューレ内に挿入する直前に確認する

 

⑫対象者に声かけをする

吸引チューブを挿入する前に、対象者に声をかけ、

反応や返答などを確認する

 

⑬吸引チューブを挿入する

適切な吸引圧(20kPa以下)と

深さ(気管カニューレの長さとほぼ同じ)を守る

 

⑭気管カニューレ内の吸引

吸引時間(15秒以内)を守る

一箇所に圧がかからないように、チューブを静かに回す

吸引物や対象者の観察

吸引中、吸引直後の対象者の呼吸状態などを常に観察する

異常があった場合は、即座に家族や看護師に報告

 

⑮1回で痰がとりきれなかったと時は、続けて2回目の吸引を実施

吸引カテーテルの外側をアルコール綿などでふき取ったあと

通水してカテーテル内を綺麗に洗い流す

その後2回目の吸引を実施

1回目の吸引時に、カテーテルの外側に付着した分泌物で

洗浄液(滅菌水など)を汚染させないようにする

 

⑯吸引カテーテルの通水(薬液浸漬法の場合)

吸引が終わった後、使用した吸引カテーテルを再利用する場合は

カテーテルの外側をアルコール綿でふき取った後

洗浄液(滅菌水など)で通水してカテーテル内を洗う

最後に保管容器の消毒薬を吸引する

この時注意することは、洗浄液や消毒薬を吸いすぎない

吸引カテーテル内に分泌物を残さないようにする

 

⑰吸引器の電源を切る

吸引器の音が気になる方もいる為、出来るだけ早く切る

 

⑱吸引カテーテルを連結管から外し、廃棄又は保管容器に戻す

汚染したカテーテルは周囲に触れないように廃棄

消毒液の入った保管容器に戻すときは

不潔にならないように確実におさめる

 

⑲サイドチューブ付き気管カニューレの場合は、サイドチューブから吸引

吸引器の接続管を直接、サイドチューブにつないで吸引

 

⑳使用した手袋の廃棄(又はセッシをもとに戻す)し、手洗いをする

汚染した手袋は周囲に触れないように廃棄

セッシは周囲に触れないように容器などに戻す

その後、手指を綺麗にする

 

21,対象者に声をかけ、痰がとれたか確認する

吸引が終了したことを話して、可能であれば

痰が取れたか確認する

再度、吸引の必要があるか確認する

 

22,対象者の状態を確認する

対象者の顔色、呼吸状態、全身状態などの観察

気管カニューレの固定状態などの観察

観察項目の把握  など

 

23,対象者の姿勢を整える

安楽な姿勢の確認  など

 

24,吸引物の状態をふりかえり確認する

吸引物の色や量、性状などの観察

異常があれば、家族、看護師、医師に報告

 

☆第3号研修の評価項目にはこの他にも口腔内・鼻腔内の吸引

胃瘻又は腸瘻の経管栄養、経鼻経管栄養があります。さらに喀痰

吸引には通常手順と人工呼吸器装着時の手順にそれぞれ分けて

評価されます。

胃瘻又は腸瘻での経管栄養は、滴下の場合と半固形(胃瘻のみ)

の場合と分けて評価されます。

全部で9項目になります。

 

第3号研修 実施手順参考例 

手順は STEP1~STEP7の7段階あります。

評価の実施手順(演習と実地研修)

STEP1:安全管理体制確保(実地研修のみ)

STEP2:観察判断(実地研修のみ)

STEP3:観察

STEP4:準備

STEP5:実施

STEP6:片付け

STEP7:記録、報告

 

☆STEP4~STEP7が基本研修(現場演習)及び実地研修評価基準

評価票を用いて評価が実施されます。

 

非侵襲的人工呼吸療法とは?

患者さんになるべく苦痛を与えないための人工呼吸管理。

在宅の場合は、気管切開を介さない人工呼吸管理になります。

非侵襲的陽圧換気(NPPV)が一般的に実施されています。

鼻又は口鼻マスクによる非侵襲的人工呼吸療法になります。

これに対して気管切開を介して実施される人工呼吸管理を

気管切開下陽圧換気(TPPV)といいます。

 

続きはこちらです→ 第3号研修の類型区分


■参考・引用文献

インターネット

厚生労働省HP内

喀痰吸引等研修 別添3 別紙1-5

//www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/tannokyuuin/04_kensyuu_01.html

//www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/tannokyuuin/dl/4-1-2-3full.pdf

 

書籍

「介護職員等のための 医療的ケア」(公益財団法人 日本訪問看護財団 編)p171 p183~p193 ミネルヴァ書房